Inheritance Tax Division

相続税の分割対策

自分の財産がどれくらいあるのか、どのようなものがあるのか、といったことを記載しておくのが財産目録です。相続においては、様々な手続きなどが必要となります。ですから、被相続人(亡くなった方)がどのような財産を残しているのか、ということをきちんと把握できるようにしておくことは、実際に手続きを行う相続人が助かることにもつながります。

私自身、今までの相続のご相談のなかでご自分の財産をしっかり把握している人が案外少ないと感じています。相続が開始した時にようやく財産の集計を始められる方が多いように思います。相続時に財産を把握していない場合、家族はとても困ってしまいます。そのためにも財産集計一覧表(以後一覧表とします)を作成しましょう。まずはざっくりとしたものでよいでしょう。

財産集計一覧表
内訳 有・無 金額
資産 現金・預貯金 現金
普通預金
定期預金
その他積立・預金等
郵便貯金
有価証券 株券
債券
ゴルフ会員権等
保険・年金 生命保険
損害保険
年金保険
動産 宝石・貴金属類
書画・骨董
自動車・車両等
耐久消費財
不動産 土地
建物
山林
その他 貸付等
敷金・保証金
資産計
負債 借入金
クレジット未払金
負債計
差引正味財産

相続税額を計算しましょう!

相続対策にはまず「財産分割対策」、次に「納税資金対策」、そして「節税対策」です。いずれも必要となってきますが、各家庭によって財産額、財産の内容、家族構成など千差万別です。そのため、どの対策から着手すれば良いのか相続対策の優先順位が異なってきます。そこで、自分にとって最善の重点となる対策を見つけ出し、実行することが効果的です。

そのためにはまず、「相続税」の試算が必要です。相続財産を評価して相続税がどのくらいかかるかを知ることです。試算してみて、(1)相続税がかからない、(2)相続税が少しかかる、(3)相続税が多額にかかる。の3つに分けると対策の方向性が見えてきます。

この相続税の試算のためには、相続税のベースとなる相続財産の課税価格を計算しなくてはなりません。ただこの課税価格の計算は非常に難しく、なかなか正確な税額の計算はできないのが現実です。この計算は専門家の税理士や相続対策専門士にお任せすることをお勧めします。相続対策の方向性を決めるためにも、ご自身で大づかみの相続税額を計算してみましょう!

相続財産評価と相続税の計算について

相続対策で、とても重要となるのが相続税額を試算することです。相続税の申告にあたって、一番注意することは申告漏れの財産がある場合です。修正申告する場合、増加した税額に対して延滞税や過少申告加算税がついてきます。申告漏れが、その全部または一部を仮装、または隠ぺいしたものであれば「配偶者の税額軽減」の適用がなくなり、重加算税課税されることになります。そのためにもご自身の財産集計一覧のリストを作成し、定期的に見直すことが必要になってきます。

この財産集計一覧表は何が相続財産となっているのかを一覧でわかるようにした表のことをいいます。プラスの財産はもちろんのこと、借金、負債といったマイナスの財産なども全て記入します。この一覧表は、相続税の申告の要否の判断、相続税の納付金額、相続対象財産の明確化などに役立ち、相続手続きをスムーズに進めることができます。

相続税の対策で、東京国税庁の調査データの試算によると相続税対象者のうち約1割の人は減税対策により相続税をゼロにすることに成功しています。相続税にはさまざまな減税対策がありますが、それらの減税対策を講じて申告期限の10ケ月以内に申告できたのでは、と思われます。

また、申告期限ぎりぎりになって相談に来られた方でも、不動産の評価を下げるなど、まだまだあきらめることはありません。相続税が確定した後でも「更生の請求」という申告書を見直す手続きをすれば払い過ぎの税金を取り戻すことができます。申告期限から5年以内であれば誰でも行うことができます。しかし!なんと相続税を払いすぎた場合、税務署から「払い過ぎですよ!」と言ってくれることはありません。ただ、申告の不備や、申告期限切れ、申告書を提出していなかった、等の場合は厳しいペナルティが待っています。

減税対策や特例等を知らず、相続税を払い過ぎていることだけは避けたいですよね…。結局、相続税の正しい特例等知識が無いと、それだけ損をしてしまうという恐ろしい税金なのです。その為にも、専門家へのご相談は必須と言えるでしょう。

財産集計一覧表を作成し、預金や土地・建物等からマイナスとなる借入金や未払金といった債務を引いたものが課税の対象となります。この時、生命保険や死亡退職金は非課税限度額を超えた分が加算されます。「相続税の総額」の計算方法は「課税価格」から基礎控除額を差し引いた「課税遺産総額」を法定相続分に分けて、それぞれの税額を計算し、それを合計して求めます。

課税価格
 = 本来の相続財産 + みなし相続財産 + 相続開始前3年以内の贈与財産 + 相続時精算課税による贈与財産
 - 非課税財産 - 債務及び葬式費用等

相続税の計算例:

上記のとおり「相続税の総額」は実際の相続分とは無関係に法定相続分から計算します。
まずは、とにかく相続税を計算してみましょう!

相続税の速算表
課税価格 税率 控除額
1,000万円以下 10%
3,000万円以下 15% 50万
5,000万円以下 20% 200万円
1億円以下 30% 700万円
2億円以下 40% 1,700万円
3億円以下 45% 2,700万円
6億円以下 50% 4,200万円
6億円超 55% 7,200万円

資産ごとの時価を出してみましょう!

具体例についてみていただいた上で、今一度、時価と相続税評価額の違いが何なのかという点について整理していきましょう。大きなくくりで考えていくと、時価はマーケットが決めた金額、そして相続税評価額は財産評価基準に基づいてきめられた価格となります。

実際に市場で取引される価格は変わっていきますが、相続税評価額の計算においては、財産評価基準が変わらない限り、評価額は変わりません。この点が時価と相続税評価額の違いを生み出す要因となっているのです。

まずは土地です。土地の相続税評価額は時価の約7割と言われています。この背景としては、相続税評価額を計算する場合において、評価額が時価よりも高くなってしまうと、課税において不公平感が生じてしまうという点が背景として挙げられます。例えば、時価1,000万円の土地の評価額が2,000万円であり、相続税が2,000万円に対して課されると、納税者から見ると納得感がないと思います。こういった背景から、土地の相続税評価額は時価よりも小さいものとされているのです。ただ、相続税評価格と時価との相違が大きい場合、納税のために売却する場合や相続不動産を相続人に相続させる場合に、時価を把握していないといろいろと問題がでてきます。

不動産は一つとして同じものはありません。その為にも、いろいろな不動産の売買に精通している経験豊かなプロに査定依頼することをお勧めいたします。

相続税計算における主な財産評価方法の目安
財産の種類 評価方法 計算の目安
預貯金 預入残高×解約利子の手取額 解約時手取り額
上場株式 ①相続があった日の終値
②相続があった日の終値月平均額
③相続があった1ヵ月前の終値月平均額
④相続があった2ヵ月前の終値月平均額
取引価格(時価)
利付公社債 「発行価格+既経過利息の手取り額」
または
「上場相場または気配相場+既経過利息の手取り額」
のいずれか低い額
取引価格(時価)
割引公社債 「発行価格+既経過利息」
または
「上場相場または気配相場」
のいずれか低い額
証券投資信託 日刊新聞等に掲載された期準価格
宅地 路線価方式または倍率方式 時価×80%
建物 固定資産税評価格 時価×40%〜60%
ゴルフ会員権 課税時期の取引相場×70% 時価×70%
宝石・貴金属
絵画・骨董
売買実例価格
精通者意思価格
取引価格(時価)
借入金 要返済額 借入残高

財産目録を基に遺言書を作成してみましょう!

遺言書について

財産の相続割合は大きく分けて「指定相続分」と「法定相続分」の2つがあります。被相続人が遺言書で財産の分け方を指定している場合は、指定相続分、基本的には被相続人の意思を最優先することになっていますが、法定相続人から不満が出るような遺言書の場合、民法で保証された「遺留分」を法定相続人は、指定相続人に対して請求することができます。

「遺留分」とは相続人のために民法上確保された一定割合の相続かぞ財産をいいます。遺言書で書かれた内容は、法定相続人の法定相続分より優先されます。ただ家族がびっくりするようなとんでもない内容の遺言書が出てきた場合、例えば、「自分が死んだら、愛人のAさんに全財産を相続する!」という遺言書を作られてしまうと、残された家族はあまりにもお気の毒ですよね。相続人のこれまでの財産を築いてきた寄与の度合いや、今後の生活の保障などを考えてあげるべきです。そのため民法では最低限相続できる財産を「遺留分」として保証しています。

このように、相続でもめないための一番の対策は、やはり生前に遺言書を残しておくことです。

遺言書に書かれた内容が、法定相続人の遺留分を侵害していない限り、遺言書がなによりも優先され、相続人同士が財産の取り分で争う余地もなくなります。最近では、相続に対する意識も高まり、年々遺言書を残す人が増えてきてはいるようですが、」日本全体でみるとまだ一割にも満たないといわれています。

「うちの子供達にかぎって、遺産争いなんてするはずがない!」「子供達には日頃から言い聞かせているから、、」など、親が遺言書を作らない理由はいろいろです。ただ、私はこのようなケースで遺言書がないためにもめた事例をたくさん見ています。

相続が原因で、今まで仲の良かった家族の関係に溝が入り、裁判にまで発展することの多々あります。そうならないためにも、遺言書は必要です。遺言書さえあれば、ほとんどのトラブルは防ぐことができるのではないでしょうか。

「遺言書」の書き方

遺言はそれぞれ遺言の種類によって法律で書き方が定められています。正式な書き方、書式で作成、保存されたものでないと無効になってしまいます。

遺言書には大きく分けて2種類あります。一つは「普通方式遺言」、もう一つは「特別方式遺言」です。

特別方式遺言とは、通常の生活で落ち着いた状態で作る普通方式遺言とは違い緊急に、特別な状態で作る遺言のことをいいます。例えば、飛行機や船舶が遭難した場合や伝染病にかかって隔離された場合、刑務所服役などの場合の遺言です。一般的には普通方式での遺言ということになります。

普通方式には、下記の3種類があります。

  1. 自筆証書遺言
  2. 公正証書遺言
  3. 秘密証書遺言

このなかで自筆証書遺言とは読んで字の通り、本人が遺言書の全文を自分で書き押印するものです。最も手軽で場所を選ばず、いつでも一人で好きな時に作ることができます。全て自筆で書きますので、代筆やワープロ、パソコンで書くことは認められていませんし、せっかく書いても無効となります。

私が遺言で大切だと実感するのが遺言に付す「付言事項」です。付言事項は相続人への思い(メッセージ)を記すことができます。法的な拘束力はありませんが、なぜこのような遺言書を残したかを相続人に理解してもらい、相続人同士の争いを防ぐ方法としてはとても有効で大切と思います。家族への最後のメッセージですので、日頃いえなかった感謝の言葉や、家族ひとりひとりに将来幸せになって欲しいなど、自分の思いや願いを伝えることができます。

遺言の内容に自分に不利益で、不満なものでもこの付言によって納得してもらえる確率が数段上がります。

遺言者の思いがストレートに伝わるので「円満な相続」の実現にはこの付言は欠かせないものだと思います。

遺言書に書けること

遺言として法的効力がある事項は限定されています。この限定されている事項を遺言事項といいます。

「遺言事項」は大きく分けて3つあります。

  1. 相続に関すること

    法定相続分と異なる割合で相続分を指定する。相続人の廃除や廃除の取り消しをする。など

  2. 財産の処分に関すること

    財産の遺贈(法定相続人以外の者を財産の受取人に指定)。など

  3. 身分に関すること

    婚姻届けを出していない夫婦の間に生まれた子供の認知。など

法的効力を持つ事柄は限られますが、それ以外のことを書いてはいけないという決まりもありません。

以前も書きましたが、相続人たちの不満が出そうな内容を遺言書にする場合は、「なぜそのようなことを書いたのか?」という理由を、付言として遺言書に書き加えることをお勧めします。

仮にですが、本来なら兄弟2人の場合、法定相続分では2分の1ずつとなるものを「長男3分の1」、「次男3分の2」とした場合、理由がわからなければ当然長男は不満を持つでしょう。しかし、「次男には一緒に住んでもらい長年世話になり、病気の治療費や介護などでずいぶん迷惑をかけた。兄弟のことについて大切な思いは同じだが、遺産については「遺言」のとおりとする」と書き加えれば、簡単に怒り出したりできないのではないでしょうか。

ただ、長文になるときや、特定の相続人に向けて遺志を伝えたい場合はその相手方に、遺書として手紙を添えるようにします。遺言者は遺言書を受け取る側の気持ちをよく考えて、思いやりのある遺言を作るようにすることで、「相続」が「争続」にならないための大切なツールの一つとなるはずです。

遺言が大切なのは

子供たちが親の遺産をめぐり、感情的な対立関係や、骨肉の争いの結果、裁判になったり、遺産の分割をめぐる争いを防止するため、親の意思を伝えることはとても大切なことです。

遺留分があるため、すべてが遺言者の思い通りにはなりませんが、それでも親の意思を伝えることは必要です。原則として、遺産は法律で定められた法定割合で相続するように規定されています。しかし、遺言があれば、この法定相続割合通りに従わずに相続させることができます。

例えば長男にだけ多くの財産を譲ったり、この「事業は次男に是非継がせたい」「この土地は次女に譲りたい」など、誰にどの財産を渡すといった財産の特定や経済的な価値だけで判断できない親の意思を尊重することができます。

次のようなケースの場合は遺言が必要でしょう。

  1. 夫婦間に子がいない場合

    相続人が夫の兄弟姉妹と妻となり、一緒に育ったわけではないので話合いが難しくなります。

  2. 相続人同士が疎遠な場合

    例えば、先妻の子と後妻との関係は、血のつながりがありませんので、話し合いが難しくなるでしょう。

  3. 法定相続人以外の人に財産を分けてあげたい場合

    亡くなった長男の嫁や、内縁の妻が被相続人の介護などをしたとしても、相続人ではありませんから遺言書がないと相続財産はもらえません。

  4. 兄弟姉妹の仲が悪い

などなど、それ以外にもいろいろなケースがあげられます。

相続で争いを避けるために「付言事項」を残しましょう!遺言には感謝の思いや、遺言者の思いを「付言事項」として残すことができます。法的な効果はありませんが、人は感情の生き物です。遺言者の思いを相続人に伝えるためにはとても有効な方法です。

たとえば一例です。
「長男の嫁は長男が亡くなってからも、私の食事や介護に長年尽くしてくれたことに深く感謝しています。その苦労にこたえるため、長男の嫁にそれに見合う財産を渡そうと思います。事情を理解して、次男、三男は相続させた財産では不足があるかもしれないが、与えられた以上の財産の要求をしないようにすること。」このような文章を付言事項として残すだけで、相続人たちの納得度が増すように感じるのではないでしょうか。

自分の子供たちが相続で争ったり、絶縁になることを望む親はいないと思います。思い当たる方、今一度、遺言の大切さを思い起こしてみることをお勧めいたします。

贈与を活用しましょう!

一定額以上の遺産を相続する場合、相続人には相続税が課せられてしまいます。配偶者や子どもに遺産を残したいと考えている場合、相続税がかかるかどうか、そしてその額がどれくらいになるかも考えておく必要があります。

しかし「生きている間に財産を渡したい」「相続税の負担をできる限り少なくしておきたい」と、思う方も多いのではないでしょうか。そんな考えをお持ちの方に知っておいてほしいのが、生前の相続対策である「生前贈与」です。

生前贈与とは?

生前贈与は、生きている間に財産を贈与すること。亡くなってから相続する財産を先に渡すことで、相続税を減らすことができます。ただし、一定額以上を贈与する場合は「贈与税」がかかるので、やみくもに贈与すれば良いというわけではありません。賢く生前贈与するためには、贈与の方法や贈与税についても把握しておく必要があります。

生前贈与の方法

  1. 一般贈与(暦年課税)

    一般贈与では、贈与を受ける人1人に対しての基礎控除額(年間110万円)があります。この制度を利用し、1人あたり年間110万円以下の贈与を行えば、課税されずに贈与が可能です。贈与を受ける対象者に制限はないので、子ども・孫はもちろん、それ以外の方にも贈与ができます。「1,000万円以上の額を、課税されない範囲の一般贈与で」となると、それなりに年月がかかるので、計画的に行いましょう。また、毎年決まった額を贈与していると「贈与したい額を分割して贈与しているだけ」とみなされて、総額に対する贈与税を課せられる可能性もあります。毎年決まった額を贈与し続けるには注意が必要です。

  2. 相続時精算課税制度

    「相続時精算課税制度」は一般贈与に比べて、相続財産を前もって渡すという意味合いが強い制度。贈与時の課税を相続時まで繰り延べにするという内容です。

    この制度を利用すれば、2,500万円の特例控除を受けることができるので、2,500万円以下の贈与には課税されません。2,500万円を超えた額には、一律20%の贈与税がかかります。この制度を利用すると、贈与した方が亡くなった時には、先に贈与された財産と新たに相続される財産を合算して相続税が計算されます。「最終的に合算されてしまうなら、生前贈与する意味がないのでは?」と感じるかもしれませんが、生前に財産を渡すことで「相続を待たずに財産を有効活用してもらえる」「自分の意思で渡し、その様子を見届けられる」というメリットがあります。

    また、不動産や株式など価値が変動するもので、将来価格が上がりそうなものは、早く贈与する方が有利なことも。いずれにしても、相続時の財産の合計が控除額より少なければ、相続税は課せられません。「持ち合わせている全財産が、相続税がかからない範囲である」と把握できている場合、この制度で贈与税を非課税にできれば、気兼ねなく子・孫世代に資産を譲ることができます。この制度は、60歳以上の方が自身の子ども・孫(いずれも20歳以上)に贈与する場合にのみ有効です。人数の制限はありません。この制度を利用する場合は、税務署での手続きが必要になります。また、その年以降一般贈与(暦年課税)への変更はできなくなってしまうので、気を付けましょう。

  3. マイホーム贈与における配偶者控除制度

    婚姻期間が20年以上の夫婦で、一定の要件を満たしている場合に限り、2,000万円までは夫婦間での贈与が控除されます。要件は次のとおり。①配偶者が住むための不動産(国内)の購入のための贈与であること。②夫婦の婚姻期間が20年を経過してから贈与されていること。また、この制度は基礎控除と一緒に利用できますので、トータルで2,110万円の贈与が可能です。

  4. 教育資金一括贈与の非課税措置

    30歳までの孫・ひ孫(直系尊属)の教育資金としての贈与は、1,500万円まで非課税となる制度。この制度を利用する場合は、贈与する方と信託会社で「教育資金管理契約」を結ぶ必要があります。贈与を受ける孫やひ孫は、契約の受益者という立場です。贈与する孫・ひ孫の人数制限はないので、相続税対策として活用することができます。教育資金以外の目的で贈与された資産を使ってしまったり、使わずに貯金したままにしてしまったりすると、贈与とみなされるので気を付けましょう。

資産をシンプルにしましょう!

相続でもう一つ大切なのは、財産の形をシンプルにしておくことです。たまにあるのですが、あちこちの銀行にたくさん口座を開いているというケース。本人しか把握していない場合、遺された家族は口座を洗い出して預金の総額を確定するために大変な苦労をすることになります。
今は、ネット銀行などもありますから、全容を把握するのは本当に大変そうです。口座は数か所にまとめ、家族にもリストを渡しておくべきでしょう。

また、自宅以外に、故郷に先祖代々の土地を所有しているというケースも珍しくありません。本人であれば売却もしやすいでしょうが、遺された家族にとってはたとえ売却するにしても負担が大きいはずです。遊休不動産は、できるだけ整理した方がよいでしょう。売却すれば現金になり、分割もスムーズです。